消費税10%増税・複数税率・インボイス制度が中小企業経営にどのような影響を及ぼすのか、いろいろな議論が行われています。8%増税の後、消費が後退し、未だに中小企業は景気回復を実感できていません。赤字でも納税の発生する消費税です。「なんでそんなに消費税が増えたの?」と中小企業の社長から怒りの電話を受けたことがあります。「えーと4月から8%になって、それが反映して・・・」。その時は5%から8%で単純計算で消費税は1.6倍になりました。今度はそれの25%アップです。

インボイス制度の導入で、消費税の免税事業者が取引から「排除」されるといわれています。免税事業者にとっては死活問題です。「廃業」か課税事業者になるか、苦しい選択を迫られることになります。一方で中小企業の場合、課税事業者が、免税事業者に支払いをした分について、仕入れ税額控除ができずに、その分、自分が納付する消費税額が増額になることも多いのではないかと言われています。

①免税事業者に課税事業者になることを強制できず、②免税事業者に消費税分を値引きさせることもできず、③免税事業者を他の課税事業者に変えることもできず・・・などという場合には、免税事業者への支払金額の10%を課税事業者が被るということです。

経産省中小企業庁の「消費税に係る実態調査」(平成23年12月)があります。免税事業者からの仕入れで消費税の控除ができなくなった場合にどのような対応をとるかを尋ねたところ、「従来の仕入先(免税事業者)と同条件で取引を継続」との回答が最も多く39.5%となっています。「従来の仕入先との価格交渉を実施」の回答は17.5%。「仕入先を課税事業者に変更」の回答は4.2%でした。(他に「免税事業者と取引を行っていない」28.6%、無回答その他10.3%)。つまり中小企業ではほとんどの場合①から③に該当し、消費税納税額激増となるのです。一方、力のある大企業は何の問題も起きず、消費税増税で利益を増やすこともあります。

ある電気工事業の会社では今期(平成30年3月期)は売上4500万円で、外注費(下請けは免税事業者3人)1500万円でした。消費税は年間100万円です。インボイス導入となると、外注費の仕入税額控除ができず、1500万円×10%=150万円の消費税増額になります。こんなことが許されていいのでしょうか。建設業では「下請けよりも親方が先に参ってしまう」と言われているのです。消費税10%増税・複数税率・インボイス制度を許さぬたたかいは中小企業経営をまもるたたかいです。

「公平税制」5月号